おじさんの戯言 猫付き

英語好き、猫好きのおじさんの戯言

Kさんについて(1)

本日は教え子「Kさん」のお話。その第1回。

 Kさんは高校1年生で英語を教えました。週4単位(50分授業、週4回という意味です)の授業です。ただ英語が不得意でした。決して授業中不真面目な態度をとったりするような生徒ではありません。むしろ説明をするとしっかり頷いてくれる、教師にとっては「教員のやる気をもりたててくれる」生徒です。でも得点できないのです。担当をはずれ、2年生になっても廊下で顔を合わせるたびに「やっているのか、間に合わなくなるぞ」と声はかけて(脅して?)おりました。そのため、何かの折には英語の参考書などを沢山抱えて持ってきては、勉強方法について私に相談する...でもそれが長続きしない...中堅校以上の学校でよく見られる風景です。やる気はあるのだけれど...のパターンです。

 2年生の秋になりました。大学受験に対応するには遅すぎるタイミングです。Kさんは、青ざめた顔で相談にきました。「先生、もう間に合いません。どうしたらいいんでしょう。今度こそ言われたことをやりますからもう一度相談にのってください」私は、青春の特権は「いつでも誕生日を作れるところ」、つまり『私は今日生まれ変わった、新たな気持ちで再出発だ』ができることだと思っていますので、いつもの通り相談に応じました。

 とにかく、もうギリギリの時期です。まず、相談に応じる前には現状の把握が必要です。模擬テストの結果(この結果にショックを受けて駆け込んだんだろうと思いますが)、曲がりなりにも勉強している(と自分が考える)参考書等、もし通っていたら予備校の資料などもってこさせました。

 さすがにまじめなKさん。模擬テストの結果はすべて保管していました。直近のテストの結果を見てビックリしてしまいました。学年全体が280人程度だったと思いますがほぼびりっけつに近い...「まずい...」と思うのは当然です。ただ、有名予備校には通っている(当時はDVDを受付で借りて自学自習。疑問点はチューターに尋ねる。あれです).し、参考書は予備校のものを小テストにあわせてやっている。何がいけないんだ、と思いました。

 私は、2~3分口頭で「不定詞って時制はいくつある?」「仮定法の過去と過去完了の違いは?」など、受験生としては基本的な項目をKさんにしました。うまく答えられません。おそらく、英語の内容を断片的に学習して、理解できない箇所は適当に飛ばして学習しているのです。学校の授業で説明されている内容も理解して7割程度ではないかと思われます。予備校のDVDの講義はましてや、です。英語の「だいたい分かった」は、全く理解できなかったとほぼ同じです。英語学習は推理小説と同じです。登場人物やその背景、事件の進行が初めから理解していないと、最後の謎解きが丁寧にされていても「だから?」という状況になってしまうのです。面白くともなんともありません。つまり、最初の出発点から、事件解決のヒントが出されているのに、それを無視して最後に謎解きされても意味はないのです。失礼しました。話を元に戻しましょう。ここで言いたいのは英語学習をするときには、とにかく出発点まで戻って最初から完全に理解し学習を積み上げていくしかないのです。話を詳しく聞くと、部活で汗を流しやっとたどり着く予備校でも、最初からDVDの講座は視聴しているけれど、途中居眠りしてしまうこともある。でもとにかく先に全部を終わらせることを優先している..それでは、勉強した気になっているだけで実力に結びつくはずはありません。授業も中途半端、予備校も半分睡眠学習...そして成績不振。本人としては耐えられない状況だったと思います。

 英語学習は(どの勉強も同様だと思いますが)、時間をかければいいというものではありません。短期集中、中央突破です。私は、Kさんにある提案をします。ものすごくシンプルな提案です。(ほぼびりっけつという失うものがないからこそできた)提案です。ここからKさんとともに私が教員として行った英語学習に関する最大の試み(「実験」といっていいかもしれません)が、始まるのです

 その提案と経過については次回『Kさんについて(2)』でお話します。