おじさんの戯言 猫付き

英語好き、猫好きのおじさんの戯言

『先生はところでどのくらいの英語力がおあり?』~英語教師の見えざるハードル~🎓

今日は英語教員の英語力のお話。

 英語の教員は、他教科の教員とは違ったプレッシャーがあります。それは、資格試験の合否・スコアです。他の教科の先生方は、教員になってしまえば、博士号、修士号は別にして「その分野の専門の先生」という社会的ステイタスが得られます。ただ、英語の教員には「使える英語」という大義のために見えなハードルを越えなくてはいけないのです。それは資格試験です。

 英語教員が目指す資格試験はざっくりいって(私のような高齢者の時代の場合ですが)、実用英語技能検定(いわゆる『英検』)、TOEIC(トーイックと読みます)、TOEFL(トーフルと読みます)、通訳案内士試験(いわゆる『ガイド試験』)があります。他にもありますが、一般的にはこの4種類です。

 各資格試験の特徴ですが、一番バランスのとれた英語能力試験はやはり『英検』でしょうか。筆記・リスニングの一次試験、合格後面接の二次試験、取得後は一生涯資格として有効なのでコスパは良いですね。社会的認知度が得られるのはは「2級」以上「準1級」「1級」です。「2級」だと、「へ~英語の勉強真面目に取り組んできたんだね」というイメージ、「準1級」だと「ほ~結構できるんだね」「1級」だと「すごいね」というイメージでしょうか。試験に出される英文やトピックは大学入試に近いものがあり、学生が受験勉強と同時並行で準備しやすい試験です。ただ、「準1級」「1級」に関しては単語力の補強が必要なほどの難語が登場します(新聞・雑誌には頻出するのですが)。

 TOEICはやはり社会人を対象とした英語能力試験でリスニング・読解(文法含む)の試験で、話題も社会生活、会社勤務に直結したものが多いので確かにオフィスワーカー向けであることは間違いありません。ただ、スコアの有効期限は2年ですから、正式な書類としては命は短いです。『英検』と比べ、じっくりというより「速く・大量に」が基本ですので、難語が出てくるのは少ないですが、時間に追われる感覚は承知しておいた方が良いです。990点満点でまずは600点からと言われています。海外出張の最初のハードルです。900点超えると「ほ~」のイメージですね。一次・二次の区別はありません。

 TOEFLTOEICと同じ会社が実施している、主に米国留学を目指す学生対象のものです。大学に入学してやっていけるか、の適正試験なのでキャンパスライフに関するものが多く、講義などの聴講を基本としているので話題も天文学からアメリカの歴史まで様々なジャンルの英文が出されます。私は「古い」人間なので、現在使用されているスコアは不案内ですが、旧のスコア(paper-based)では630点くらいが「ほ~」の目安でした。有効期限は2年です。(速さ、量は『英検』とTOEICの中間くらい?)

 『ガイド試験』は英語関係の資格試験では唯一国家資格です。ですから、合格の場合は官報にも掲載されます。筆記(英語・地理・歴史・一般常識・(今は実務?))の一次試験、英語による面接の二次試験です。英語に関しては『ガイド用』なので、英語力ももちろんですが、日本文化に関する知識が必要とされます。また、二次試験でもその知識が必須なので無駄にはなりません。これも『英検』同様、国家資格ですので一生ものです。『ガイド試験』の一次英語に関しては『英検(1級)』、TOEIC(900点以上)で免除になりますので、先に2つの試験を合格したあとの方がコスパはいいです。英語以外の試験についても免除規定があるようですが。

 ※以上概略となりますが、なにしろ「おじさんの戯言」の世代のお話ですから、最新情報はWeb等でご確認してもらえれば、と思います。

 何の話をしているんでしたっけ?そうそう、その資格と英語科教員についてでした。世間一般の人たちが英語教員を見るとき、「教え方がうまい先生」、「親身になって面倒を見てくれる先生」だけではありません。さらに『先生はところでどのくらいの英語力がおあり?』となるんです。英語力が売りの学校になればなるほどその傾向は強いです。

 実は、私は新卒、新採で高校の英語教員になりました。大学3年生の時『英検1級』の二次試験を3回落ちて以来トラウマになっており、15年近く資格試験から遠ざかっておりました。資格は関係ない、教師は教え方で勝負だ!と自分としては「無冠の帝王」のつもりでおりました。ただ、私の教員なりたての頃は全くの学歴社会...誰も口には出さないけれど○○大卒など、英語の疑義が出たときに顔を出すんです。「私が○○大で勉強してた時はこうだった」等々。今でいう「マウントをとりにくる」んですね。負けん気だけは強い私は、いつか見返してやるんだ...どうやって?ようやくTOEICが認知され出したころです。そうだ、資格をとってやろう、きれいなスコアが並べば自尊心は傷つかずに済む...しかし私の時代はとにかく「読む・書く」が中心の英語、「聴く・話す」が弱いのです。大学3年生の時に『英検』の二次試験に落ちたのもそれが弱いからです。仕事の合間を縫ってを準備を始めました。受験生と同じです。それでも、資格試験が怖くてなかなか受けられない...ある夜、酔っぱらった勢いで申し込み、なんとかTOEICは900点を超えたのです。ただ、その後もう一つ波がやってくるのです。人事異動で、英語の専門高校へと異動になったのです。その時の面接を今でも思い出します。管理職が、私の調書を見ながら「このくらいなら(TOEIC900点越えているなら)うちの生徒教えられるね」とうす笑いを浮かべながらつぶやいたのです。正直、自尊心ではなくプライドが傷つけられた気分でした。くやしくて、くやしくて...確かに異動校では教員の能力も異様なほど高いのです。「やったろじゃないか、数値さえそろえばいいんだろ!」私は、TOEICTOEFL→『英検1級』→『ガイド試験(1級なら英語免除)』の順で制覇することを決意し、今回は酒の勢いは借りず、淡々と受験していきました。私の人生では大学受験以来初めての(教員採用試験は除く)他流試合でした。覚悟して臨んだ試験、3年間でTOEIC(975)、TOEFL(県で実施 itp 630)、『英検1級』(合格)・『ガイド試験』(合格)すべて1回のチャレンジで果たしました。我ながら「よくやった」と自分を褒めてやりたいと思いました。珍しく、カミさんが褒めてくれました。保護者・生徒からは、『先生はところでどのくらいの英語力がおあり?』のコールもなく披露することもなく終わってしまいましたが、管理職にはリベンジできました。毎年出される「調書」にスコアが加えられていったのを驚異の目で見ていたようです。「よく忙しい中、これだけの成果を上げたね」と言われ、溜飲を下げることができました。

 確かに、英語の教師には以上の「見えないハードル」がありますが、それが結果としては良かったと今でも思います。英語(英語教育)に関しても一歩前に出て意見が言えるようになりました。最初は意地で臨んだ資格試験でしたが結果としては「自信」につながり、その後の教員生活の柱の一つになったと思います。

 不安な部分があれば、後ろを向かずに正面から勝負を挑む。それが、「見えないハードル」から私の学んだ最大の教訓です。

 これからも、生徒と同様に死ぬまで精進を続けます。