先日、目についた松尾芭蕉の俳句についてのお話。
松尾芭蕉と言えば、『奥の細道』ですが、俳句を完成させた俳聖の称号を持つ世界的な俳人です。当然それ以外にもたくさん句(1000句とも言われています)を残しているわけですが、次の句をご存知ですか?
『芭蕉庵小文庫』に掲載されている俳句です。
詞書(ことばがき)に次のようにあります。(歌でいう「ライナーズノート」ですね)
「座右之銘 人の短をいふ事なかれ、己が長をとく事なかれ」
※人に自慢話をしたり、他人の短所をあげつらったりすると、あとで「言わなければよかった」と寒々として気持ちにおそわれるから余計なことを言わない方がいい、ということです。
思わず、「あっ痛!」思い当たる節があります、しかも何度も。私のような高齢者になると、人の話をさえぎっても自分の自慢話をして顰蹙を浴びることも少なくありません。なにしろ、「病気」でさえ「病気自慢」してしまうぐらいですから。また、他人の短所は目につくもの...「あのね...」と偉ぶって説教してしまう...
「口は災いの元」ですかね。気をつけようと思います。肝に銘じます。
あと、俳句って奥が深いですね。日本語の深さを言いますか...以前に、俳句ではありのままを描写するのは「俳句」でない...と言われた先生のお話を聞いたことがあります。上の句ですが、「物言えば唇寒し秋の風」の「物言えば」は単に発話するということではありません。でもその語句の響きに人間の微妙な感情の機微を感じます。それで「秋の風」でしょう?「秋」と「風」が持つ日本人独特の感性がピタッとはまるのです。すごい、の一言です。17文字にある「小宇宙」...
俳句は、人生を、宇宙を、五・七・五にギュッと詰め込んだ最高の文学の完成形と言われています。私に「句」をひねり出せるほどの文才がないことはわかっていますが、せいぜい、人生の先輩が残してきた「人生のひだ」を感じたいと思います。
