おじさんの戯言 猫付き

英語好き、猫好きのおじさんの戯言

「台湾」高市発言は結局どうよ!?

本日は、「台湾有事」を巡る高市早苗総理の発言についてのお話。

 毎日のように、「台湾有事」を巡る高市早苗総理の発言についての是非がSNS上だけでなく、新聞・テレビといったオールドメディアでさえ取り上げています。インバウンド客相手の旅行関連の産業が打撃...中国をやたらと刺激してはいけない...一番ビックリするのがもう、パンダは貸してもらえないのか...と本当に心配そうに眉間に皺をよせる人々...熊だったら、ヒグマもツキノワグマの心配でもしろ...と思ってしまいます。

 私が、心配するのは、表面的な発言の余波に右往左往して一番大切な部分について落ち着いた議論がなされていないような気がすることです。申し訳ないれど、私は旅行関連の仕事についていないので、正直インバウンド客の中心である中国人が観光地からいなくなってホットしています。

 まずは何からこの問題が始まったのか...

11月7日の衆議院予算委員会でのお話。(TBS NEWS DIGより)

立憲民主党 岡田 元外務大臣
「(総裁選での)高市氏の発言が突出していた。『でもそんな場合(台湾の海上封鎖)であっても、存立危機事態は簡単には成立しませんよね?』」

高市総理(7日)
「例えば、台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのために、どういう手段を使うか。それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースである」

 このような、高市総理の発言を引き出した岡田氏に「誘導質問だ」と非難の矛先が言ってることに対して、「これまでの政府答弁や法律に基づいた答弁を予想していた」という岡田氏。

 予想していた「これまでの政府答弁や法律に基づいた答弁」とは?つまり、中国と台湾の関係について日本の見解ですが、日中国交正常化の際、日本政府は次のような見解を述べています。

 結論から言うと:日本は “中国の立場を十分理解し尊重する” と述べただけで、“台湾は中国の一部である” と自らの立場として認めたわけではありません。

🔎 1972年「日中共同声明」の該当部分

日中国交正常化の際(1972年)、共同声明の第3項には次のようにあります:

中国政府は「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」と表明した。
日本国政府は、この中国政府の立場を 十分理解し、尊重する。

ここがポイントです。

✔ 日本の文言に含まれるニュアンス

**中国の主張を「理解し尊重する(understand and respect)」**とは書いてあるが、

日本自身が「台湾は中国領だ」と認める(acknowledge / accept)とは言っていない。

外交文書では言い回しに大きな意味があります。日本はあくまで「中国の主張の存在を理解し、尊重する」と述べただけで、法的にその主張を追認した(承認した)わけではない、というのが日本政府の立場です。

★その後の日本政府の公式見解

その後も一貫して、

「台湾の地位は未確定」という立場をとってきている。日米共同声明などでも “台湾の地位は未定(undetermined status)” の扱いというのが日本の方向性です。

結論としては、日本は「台湾は中国の一部」と 認めていない。日本は「中国がそう主張していることを理解し尊重する」と述べただけ。これは1972年当時から現在まで基本的に変わっていない。

 外交的に、いわゆる「玉虫色」的な答弁で乗り切ってきたわけです。

また、「存立危機事態」に関しては

「存立危機事態」とは、2015年、安倍政権が集団的自衛権に基づいて限定的に武力行使が許される事態として設定したもので、「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に限られます。

 そして、高市総理の今回の発言です。

岡田氏は続けます。

「安倍さん、麻生さんにしてもそうだけど、ひとつは台湾に対する思い入れはあると思う。台湾の人は親日的だし、日本人にとっては大切な友人。日本も(米軍と)一緒に武力行使という話は、直ちに結びつく話ではない」

 私は、心情的には「台湾」よりになることも理解できます。いつも、国内の政治が経済的理由等により不安定なると、日本をやり玉にあげて国家あげて国民の「反日感情」を煽り、国民の視線を外に向けさせようとする中国政府、中国への香港の復帰時の民主化運動の弾圧...さらに外国でもその警察権を行使しようとする中国、一方、「日本人は大切な友人」といってやまない台湾人、そして大災害に見舞われたときいち早く「支援」を申し出てくれる「台湾」...日本人の多くが「台湾」よりになります。オリンピック入場の際、「台湾」と紹介したとして、日本人の多くが度胸があると喝采を送ったくらいですから。

 ただ、国際政治は「感情」だけで動くべきではないと思います。高市総理の答弁をあえて「切り取り」すると、中国が台湾に軍事侵攻した場合には、即自衛隊出動みたいに聞こえるんです。おそらく、そんなことはない....台湾と日本は軍事同盟を結んでいるわけではないのですから。中国が、日米への牽制として、尖閣諸島を始め南の島に何かしらしかけてくる(そんなことは誰もわかること)、その時、そして両陣営が対峙した「最悪の時」を前提とした発言のはずです。

 私は、予算委員会の質問は当然事前に提示されていて、総理側も準備して答弁しているはずです。なぜ、「地雷」のような話題に関して、「退屈」と思われる従来の政府の方針を繰り返さなかったのか...高市色を出したかったのでしょうか...そこを理解しても、今回の高市総理の発言は「勇み足」「前のめり」感がぬぐえません。中国はとてもプライドの高い国です。面子が汚された(と感じた)時には、10倍返しをします。「勇み足」を中国政府にもっけの幸いのごとく利用されたのです。だからといって中国大使の中国総領事の「汚い首斬ってやる」発言は許されるものではありません。政府も抗議しているようです。放っておけばよいと私は思います。完全な外交上の不規則発言です。そんな発言を相手にしてはいけません。「お前のか~ちゃん、でべそ」の世界になってしまいます。同じレベルまで下がってしまいます。コンサートが中止になる...催事が中断する...日本人としては「どうよ」と思うかもしれませんが、今に始まったことではありません。そういうことがある...ことを理解することも本当の「国際理解」です。

 それでは、どうするか...外交上、発言の撤回は到底無理です。残念ながら、レアアースといった経済上の必要性も考えなくてはいけません。今、亀のようになって以前の立場を繰り返し述べるといった「守り」に徹するしかないかもしれません。

 そして、メディアが考えているほど、政府はアホではありません。「有事」に関してはあらゆるシミュレーションをしているはずです。最近では「開戦も...」なんて勇ましいお話も聞きますが、「有事」に関しては、動き出した列車は止められません。ウクライナ戦争のように、ガザ侵攻のように。個人的には、「有事」回避が最優先事項だと思います。また、ウクライナ vs ロシアの構図とは違うことも注意が必要です。中国と台湾は共に自分こそ、正統中国だと主張していますが、中国側は「一つの中国」を主張し、国連では、現在代表権は「中国」にあり、「台湾」は加盟できていません。

 ちなみに、国連での「一つの中国」の認知度と、米国・日本の立場をAIの資料を元に提示します。

国連加盟国のうち、「中国の主張を受け入れ/台湾を中国の一部とみなす国」    約 142か国(およそ74%) 
interactives.lowyinstitute.org
+1

国連加盟国のうち、「一つの中国原則」を強く支持する国 (endorse)    約 119か国(およそ62%) 
interactives.lowyinstitute.org

United States(米国)    中国の主張を承認はせず、台湾の主権問題については「立場を留保」する One-China policy を維持 
Radio Free Asia
+1

Japan(日本)    中国の主張を「理解・尊重」する表明のみ。国際的統計の「一つの中国支持国 (endorse)」には含まれない可能性大 
interactives.lowyinstitute.org
+1