本日は、森の熊さんのお話。
『ある日~森の中、クマさんに出会った~...』知らない人はいないくらい有名な森のクマさん...の歌。最初はお嬢さんに逃げなさい...と続きますが、その『クマさん』が実はお嬢さんが落とした指輪を拾ってくれる...なんともかわいい『クマさん』。ただ、かわいいのは『クマさん』であって『熊さん』ではないのです。
最近、森で熊に襲われた、人里まで出てきて食べものを漁る...その駆除の対応を巡ってSNS上でも議論がなされています。今日は、実際コワイ思いをしたお話を...
まだ、人里に熊がやってくることの滅多にない30~40年前のお話(ごめんなさいね。高齢者の話は古くて😅)。教員になりたての頃のお話です。私は、基本的には軟弱な人間で運動というものに縁がない人間でした。当然『熊さん』との接点などあろうはずがありません。身体を動かすことが面倒くさい...かったるい...でも、教員になって、なぜか私には周囲の人間に「○○さん(私)には、××が必要だ、是非△△を試すべきだ」と薦められることが多く色々やりました。スキーもそうだし、登山もそうでした。
ある日、同僚が突然「今年の夏は登山にいくぞ!」と私を誘います。えっ!?ハイキングだってほとんどしたことがないのに...装備がないから...もたもたしていると、自分の使わなくなったザックがあるから...今度登山靴を買いにいくぞ...最低15~20kgは分担して持ってもらうぞ...外堀から埋められて「登山デビュー」です。しかも北海道の『大雪山』...山の中に三泊する...そこで事件は発生します。
登山が始まりました。運よく、天候にも恵まれ順調に行程をこなしていきました。雄大な大雪山の風景など楽しんでいる暇はありません。4人のパーティで私は言われたままついていくだけです。貸してもらった登山用ザックは昔からある「キスリング型リュックサック」(厚い生地で両側に登山靴でも入りそうなポケットがついているヤツ)でそれ自体が重いんです。結構素人の15~20kgはきついんです。でも、文句も言わず黙々と進みました。リーダーの人間は登山歴の長いベテラン...その割に結構いい加減なんです。山に入って半日も経ったころでしょうか...「ああ、忘れちゃったな、クマ避けのベル...」えっ、えっ...何のこと?何か大失敗?不安に思っていると、他のメンバー(同様にいい加減)が「言えてる...だからって今からは戻れないよね」。あ~そういえばふもとに『アルプスの少女のハイジ』に出てくるようななベルみたいなものが売っていたけど、あれって玩具でなく実用品?だったの?熊って出るの?出るみたい...うそでしょ?そんなの聞いていない...一時小休止、リーダー曰く、「熊は音に驚くわけさ...別にベルの音でなくてもいいのよ...」結局、皆が各自で持ってきているコッヘル(調理だとかに使う鍋や皿)を紐でぶら下げてリュックに縛り付けることに(よく外国のウエディングで車の後ろにガチャガチャ色々つけていくヤツと同じ要領ね)うるさい...確かにうるさい...熊はこないだろうな...臆病者の私は不安で、テントで寝る時も何か音がすると飛び起きていました。仲間はそんな私を笑っていました。音を迷惑に立てながら2泊終え、3泊目の目的地に歩いて向かっている時昼食になりました。またまたいい加減なパーティ、ここで昼食?と思われる場所で水を沸かし乾麺のうどんを突っ込んで出汁は魚肉ソーセージ、ゆで汁ごと食べるとろみのついた「特製うどん」ですね。騒ぎが始まったのは食べ始めて5分かな...我々が向かう下り方面から大きな音がどどどーっと聞こえてきたんです。いくら何でも熊では...ハイ、熊ではありませんでした。熊に襲われそうになった別の登山者の数人が駆け上がってきたです。私たちがのんきに鍋から直接うどんを食べているのを見て、「何をやっているんですか!早く逃げなさい」と真っ青な顔で叫んでいます。話によると前日の夜、我々が目指している山小屋で熊が出たとのこと...山小屋のそばでテントを張っていたパーティ(だいたいケチってテントを張ったりするんです...私たちも同類です)を揺らすヤツがいる...熊だったそうです。テントの先を揺らしている。テントの周りをまわっている様子...一瞬のスキをついて山小屋に逃げ込んだとのこと。一晩中、山小屋をバンバン叩いたり、がりがりやったりしていてほとんど寝ていないとのこと。朝方、周囲に散らかっている食べ物であきらめたらしく姿が見えない...だからテントも放り出して一目散に逃げてきたのだ...あんたがたも早く逆方向に逃げた方がいい...「それじゃ」と言い残して走っていきました。さすがにいい加減な仲間もことの重要性を認識、すぐに荷物を取り急ぎまとめて一番近い下山道へと急ぎました。人間って「火事場の馬鹿力」と言いますか、アドレナリンの放出といいますか、結構力が出るものです。私も荷物の重さをほとんど感じることなく大雪山を最短のコースで駆け下りていきました。人里の温泉地につくまで生きた心地がしませんでした。それほど怖かったんです。人間、トラウマってあるんです。見えない角にくると、『熊さん』が出てきそうな気がするんです。しばらくの間、不安感が付きまといました。町場でも、その不安感はとれないのです。帰りに登別のクマ牧場に寄ったのですが、その獰猛な雰囲気に誰もが無言でした。だって爪が5cmくらいあるんですよ。おそろしいったらありゃしない。実際に遭遇しなくても怖いんです。
今は、その『熊さん』が平気で人里に出てきています。正直コワイです。先日、木曽路の『寝覚めの床』という景勝地を朝早く訪れました。誰もいない...霧が出て幽玄な世界を独り占め...ただその『寝覚めの床』の看板に貼ってあったんです。「クマ出没注意!」って。浦島太郎伝説のある場所の雰囲気にもっと浸っていたかったのですが、その看板を見て「大雪山」の記憶がよみがえり、足早に太い道へ戻りました。
下の画像の「ク」を見てください。「クマ出没注意!」となっているんです!画像的に美しくないのでギリギリの線で切ったのですが...

皆さん。『森のクマさん』とか『クマモン』とかの名称に惑わされてはいけません。体長1m? 俺は180cmあるぞ...なんて油断してはいけませんよ。これから熊の季節です。お互い注意しませう。
