おじさんの戯言 猫付き

英語好き、猫好きのおじさんの戯言

「おじさん」と旅 パリ 恐怖のレストラン体験

パリの星付きレストランで経験した恐怖の体験のお話。

 もう20年以上の前の経験。フランスのパリを拠点に1週間ほど観光で滞在した時のお話。私は英語の教員ですがフランス語が話せないので、現地でのレストランの予約をどうしようかと考えていました。当時は(今もそうかな?)JCBカードの保持者は「JCBプラザ」という代理店で旅行案内、レストランの代理予約などサービスが受けられました。せっかくパリに行くのだから、ミシュランの★付きレストランに行こうと決めておりました。ただ当時は若いこともあり節約志向で、それなりの真ん中くらいのコースをお願いしました。レストランは以下の説明にある「ル・ブリストル」というレストランです。

(ORICON NEWS より引用 2018.7.25付)

 (前略)世界の名だたる高級ブランドの本店が軒を連ねる、パリのサントノーレ通りの先にあるホテル「ル・ブリストル(Le Bristol)」。その中にはホテルの名前をそのままつけられた超高級フランス料理店「ル・ブリストル」があります。
ミシュランの評価でも3つ星(私たちが訪れた時は1つ星)を受賞しているこのル・ブリストル。フランスに行ったからにはぜひ本場で本格派フレンチを楽しんで、セレブのように優雅な一時を過ごしてみませんか?(後略)

 スニーカーでポロシャツというわけにはいかないので日本からスーツと革靴は用意して出かけました。初めてフランスでのフルコースです。予約の旨を告げ、テーブルも、それなりの位置に案内され、まずまずの滑り出し...とにかく本場のコースは量が多いのです。前菜(コンフィか何かだったと思います)だけで結構おなか8分目...ただそんなお腹の心配を吹き飛ばすような事件がおこるのです。私たちの「JCBコース」にはハーフボトルの赤ワインがついておりました。にもかかわらず、うやうやしく、ソムリエがそばに来てワインメニューを私に渡します。カミさんの方には値段が書いてありません。私のメニューには安くて数万のワインの価格が載っています。お約束のハーフボトルの赤ワインはどうなってるの?と思いながらソムリエに「よくわからないのですが...」と英語で伝えると、まずは食前酒で...と言います。「JCBコース」についてないのに...どれがいいのかわからない旨を伝えると、奥から大きな地球儀みないな移動式のワインセラー(?)のようなものを引いてきた蓋をあけるではないですか!どれがお薦めですか?ーこれはお薦めです。どうですか?試飲してみます?ーこれでお願いします...なんてやり取りをしてシャンペンを注いでくれます。???さらにレストランのスタッフが私たちのテーブルに囲むようにやって来て乾杯の際に一緒に祝ってくれている????この段階で、明らかにおかしいと気づいた私たち...カミさんの顔は真っ青、私はうなじにいやな油汗が...カミさんが目で『どうするの?』と訴えかけています。私は、指をあげスタッフを呼びます。「確認したいことがあるのですが。私たちはJCBコース予約できている〇〇です。赤ワインハーフボトル付で■■円のコースだったと思うのですが、先ほどのシャンペンといい何か行き違いがありませんか」スタッフは驚いたように踵を返し奥へ。フロアを忙しく行ったり来たりするスタッフの姿、フロアのスタッフが受付のスタッフと小声で話す様子、レストランが見渡せるベストポジションにいた私たちには慌てている様子が手に取るようにわかります。あの拍手をされたシャンペンはいくらだったの?もちろん、その騒ぎのあとシャンペンが下げられたことは言うまでもありません。「お客様のワインはこちらになります」と赤ワインハーフボトルを代わりに置いていきました。不安ではありましたが、カミさんのいる手前「いざとなったら、カードで払えばいいんだから」と余裕ある態度をとっていました。その後に続く料理は、これぞフランス料理の王道といったもので堪能しました。お腹一杯です。

 いよいよ会計。覚悟していましたが、追加は0円です。それでいいのですか、と尋ねましたが、「当方のミスでご迷惑かけました」と言われ、恐縮するなり、感動するなりのフランス料理フルコースでした。さすがに料理だけでなく、接待も一流だと感じた夜でした。でも正直、怖かったです。後日、カミさん曰く「あなたが英語が話せてよかった、と心の底から思った」そうです。